それは「あなたの声」である
「部屋に生花を飾ると良縁に恵まれる」
そう聞いて、部屋に生花を欠かさなかった時期がある。
我ながらかわいい過去だ。
彼と一緒に暮らし始めた頃、私が生花を買うと彼は嫌な顔をした。
「食べもできず、枯れるだけだからかな?」
と、私は思った。
彼は言った。
「切り花は、痛々しいから好きではない。鉢植えを買ってやる」
「食べもできず、枯れるだけ」
は、私自身の声だった。
相手の心を勝手に推測するとき、それは大抵
「自分の声」
でしかない。
推測がお恥ずかしい内容であればあるほど、
自分を正す良い機会だ。
お恥ずかしい憶測をしない。
これは大人のオンナのたしなみだ。
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